リハビリの超基本、ROM訓練について勉強してみた
こんにちは、まえぴです
リハビリする人は、必ずROM訓練(関節可動域訓練)を行うと思います。
同僚にどこを意識して触っているのか、どのように動かしているのかを?を何回か聞かれて、しっかり相手も自分も納得のいく回答をすることができませんでした。
そこで、細かいテクニックはさておいて、どうしてROM訓練をするのか、何を目的にやっているのか、何年も経験を積んでいる人からしたら、簡単なことかもしれませんが、調べてまとめてみました。
目次
何が原因でROM訓練をするに至るのか。
それは硬いところがあるからです。それはそうですが、じゃなんでその硬いところを柔らかくする必要があるのか?
これに関しては、理由は後から何とでも付け足すことができます。苦痛を減らすためとか、ADLをやりやすくするためなど、理由はたくさん挙げられますね。
ROM訓練そのものが目的になってはいけないと思うので、何のためにROM訓練をするのかを考えて”ROM訓練”というプログラムを立案すると良いですね。患者さんや上司に聞かれたときにきちんと答えられるようにしたいものです。
さらに、”何が原因でどこが硬くなっているのか”を考えて行うROM訓練をおすすめします。次の見出しからは、「硬い」という言葉を「拘縮(こうしゅく)」と言い換えて、できるだけ文献や学術書から引用して紹介します。
拘縮の定義
拘縮は、皮膚、骨格筋、関節包、靭帯などの関節周囲軟部組織が器質的に変化し、その柔軟性や伸張性が低下したことで生じたROM制限である。¹⁾
と述べられており、その器質的変化によってROM制限が拘縮と定義されています。
拘縮の分類
正常な関節運動を行うには、関節そのものに問題がないこと、関節を動かす筋肉に問題がないこと(十分な筋力と伸張性があること)、関節を支える軟部組織に問題がないことが条件として挙げられます。逆にこれらに問題があると、ROM制限が生じます。
皮膚性の拘縮
皮膚や皮下組織が伸びにくくなると発生します。やけどの跡、皮膚の壊死が起こり、その治癒過程で起こる瘢痕形成が原因になることがあります。
筋性の拘縮
筋肉が伸びにくくなると発生します。つまり、筋肉が短縮、萎縮が原因です。これは、一定期間、動かさないでいると筋肉の収縮が少なくなり、そのまま短縮してしまいます。
結合組織性の拘縮
関節を構成している靭帯、腱、腱膜などの結合組織によって構成される組織の柔軟性が低下することで発生します。
神経性の拘縮
筋肉のスパズムが持続することにより生じます。痙縮や筋緊張亢進、異常な筋緊張パターンを持っていると発生します。
強直
拘縮とは違いますが、紹介します。
軟骨や骨などの関節包内の構成体そのものがROM制限の原因になっている状態です。これは、リハビリテーションによる改善はもう不可能に近いです。関節自体が、もうそのままがちがちに固まってしまっているからです。
拘縮のチェックの仕方
どこが原因で拘縮になっているのかをチェックできたらいいですよね。
実際は、上記の様々な拘縮が重複していることが多いので、筋肉が原因です!っと言えないこともあります。簡単にできそうなやり方を二つ紹介します。
エンドフィールを感じるやり方
エンドフィールとは、関節を他動的に動かしたときに、最終可動域で感じる抵抗感のことです。この抵抗感で、関節可動域制限の原因がどこの組織であるのかを仮説立てるのに役立ちます。
例えば、
筋が短縮している場合、短縮している筋の作用と反対の動きで抵抗感を感じ、その時のエンドフィールは”弱々しい”組織伸張感になります。²⁾
筋肉の抵抗感をチェックしたい場合は、その筋肉の走行を意識して動かすとよいです。上述のように、「短縮している筋と反対の動きで抵抗感を感じ」とありますが、ほとんどの筋肉は、垂直、水平に走行しているのではなく、3D的に斜め、捻じれて骨と骨の上を走っています。ですから、解剖学の知識はあったほうがよいということですね。
筋の短縮を評価するやり方
トーマステストやSLRなど、筋肉の起始と停止を遠ざける整形外科的な検査です。解剖の本を見ながら、どのような筋肉に対しても短縮の程度を見ることができます。
トーマステスト
腸腰筋の短縮による股関節屈曲拘縮をチェックする目的で行います。対象者に仰向けになってもらい、検査する側の腸腰筋(大腿部)を押さえ、検査しない側の大腿部を股関節屈曲方向へ曲げます。腸腰筋に短縮がある場合は、大腿部は床面から浮いてきます。
SLR
ハムストリングスの短縮をチェックする目的が行います。対象者に仰向けになってもらい、検査しない側の大腿部を押さえ、検査する側の下肢を膝伸展のまま上にあげます。ハムストリングスが短縮している場合は、途中で膝関節が屈曲してきます。
参考文献
1)関節可動域制限の発生のメカニズムとその治療戦略、沖田実、木曽理学療法研究部会、2014
2)”臨床思考”が身につく運動療法Q&A、高橋哲也編、医学書院、2016
3)臨床OTROM治療、山本伸一編、三輪書店、2015
ここまで学んでみて、まず拘縮に至らせる原因はなんなのかを知る材料を手に入れることができました。
ではどんな介入をしたらよいのかという話になりますよね。
いろんな本を読んでみるとマッサージやリラクゼーション、筋肉・軟部組織・関節への各モビライゼーション、マニュピレーション、ストレッチなどいろんな言葉があって混乱しています。また改めてこれらの言葉の違いにも触れていきたいと思います。